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詳細説明
本作品は、コンラート・ローレンツが「鏡の背面」の中で述べる生命の回路を、アクチュエータとライフゲームを使い、再構築する作品である。
コンセプト
本作は、外気温とCO₂濃度という環境信号をライフゲームの更新則へ組込み、個体が保持する“エネルギー”を16台のアクチュエータに出力する。 同一の更新則でも入力がわずかに異なれば過程と結果は無数に分岐するライフゲームの特徴を木材や金属の物質性を介した運動へ翻訳する。 テクノロジーが急速に進化する現在、知覚や判断の一部を機械に委ねるほど、生命は有機性によってではなく、ローレンツが述べた「環境情報の取り込み—内的モデル—行為—結果のフィードバック」という回路の有無によって再定義できるのではないかという問いが切実になる。 本作はこの回路をスクリーン内部ではなく、観客と同じ空間と時間に晒すことで、情報と生命の結びつきを身体感覚として再学習させる。私たちは、この運動を生命と呼べるだろうか。AIの時代に、生命を“情報の設計が行為を生む回路”として捉え直すことは、環境に応答し共に生きるための倫理と実践の足場を取り戻す試みでもある。